シガー(葉巻)の楽しみかた

こちらでは葉巻の専門家である東京渋谷の喫煙具専門店「ありいづみ」の店主である
有泉宏洋氏による「シガー(葉巻)の楽しみかた」をおとどけします。(この文章は小冊子
のために書かれたものを著者のご好意により転載許可をいただき、一部の省略を除き
原文のまま掲載いたします。)
 
葉巻は究極の贅沢と言う言葉があります。欧米では自分の子供が生まれたお祝いとして、
葉巻を近所や知り合いにふるまう習慣があります。こんなシガーをより深く知って頂く為の
小冊子です。ご参考になれば幸いです。

    シガー(葉巻)の楽しみかた

      なぜ葉巻なの?紙巻タバコとどこが違うの?

                シガーの基礎知識
                どうすれば楽しめるの?
                サイズによる味の変化
                温度と湿度
                シガーカットについて

      実践編 

                さあ、シガーを持って下さい。
                お酒とのマッチングを楽しむ。
                火をつける前の楽しみ
                火をつけてからのの楽しみ 前半
                灰の色を見たことがありますか?
                火をつけてからのの楽しみ 後半

    シガー(葉巻)の楽しみかた

         なぜ葉巻なの?紙巻タバコとどこが違うの?

         シガーの基礎知識

                     シガーはフィラー・バインダー・ラッパーの3層から構成されています。

フィラー 填充葉とも呼ばれ、シガーの中心部に当たります。パイプタバコをフィラーにした、特殊なシガーも有ります。ハンドメイドシガーの多くはロングフィラー、すなわち大きな1枚葉を数枚使い小さくたたんだ様になっています。
バインダー 中巻き葉とも呼ばれ、フィラーを締め付ける役目をします。これも一枚葉を使用するものが多いです。
ラッパー 外巻き葉とも呼ばれ、バインダーを包む弾力に富んだ葉を使用します。ラッパーが熟成する際に出る油分により、一 層シガーの香りを引き立てる役割をします。このラッパーの持つ味・香りが、そのシガーの特徴を決定するとさえ言われています。
    

このように葉巻とは葉を使って巻くから葉巻なのです。タバコ用の紙は特別な処理がしてあり、紙自体が燃えやすく出来ているのです。この紙が健康に良くないと言われることが多いようです。

      どうすれば楽しめるの?

葉巻と紙巻タバコの大きな違いは吸い方と香りの豊富さです。

葉巻は香りを楽しむのが最大の目的です。或る人は「男性の香水」と表現します。また或る人は「葉巻を吸っている隣の人が、最も葉巻を楽しんでいる人だ」といいます。美味しい食事の後に食後酒(ブランデー類・ポートワイン等)と共に楽しむのが本来の葉巻の楽しみ方です。

吸い方の違いは、葉巻の場合は煙を肺まで入れる必要が無い事でしょう。葉巻を知らない人は「葉巻はきつくてどこが美味しいのだろう?」と言いますが、良く聞いてみると、乾燥したままの廉価な機械巻の葉巻の煙を肺に入れている人が殆どです。これでは辛くてきつくて、嫌いになって当然です。

    サイズによる味の変化

同一銘柄で同一の葉を使用したサイズの異なるシガーが2本ある場合、全長の長いシガーほど最初に火をつけた際の喫味が軽くなります。同様に長さが同じでも直径の異なるシガーの場合は、直径の太いシガーの方が、同様に最初の喫味が軽くなります。

    温度と湿度

どんな葉巻でも温度18〜20℃、湿度68〜72%で保管するのが理想なのです。これさえ守れば、何年でも保管できるのはなぜでしょうか?

適正な温湿度の維持は、シガーの熟成を促進します。くどいようですがシガーは熟成する物なのです。たとえて言えば、ワインと同じです。ワインは樽やビンの中で、熟成し続けています。熟成のために適した温度・湿度があるのです。シガーもワインと同様に熟成に適した値があります。では、この値の変化がシガーにどのような影響を及ぼすのでしょうか。

保管温度が上がってしまった場合、例えば30℃以上になるとカビが発生することがあります。適正条件下において白い綿状のカビが発生する事がありますが、これは保管条件の良いときに発生する無害な物なので、見つけたらハケ等で掃った上で吸う事が出来ます。しかし、30℃以上の条件で出てくるカビはいわゆる青カビ(青・緑)で、ラッパーから取り除くことが出来ません。また、この温度を境に、偶然にもシガーに付着する虫の卵が孵化する事があります。「さあ今日は何を吸おうかな〜」と、ヒュミドールをあけた瞬間、または、葉巻を吸っている最中に「虫の幼虫とご対面」言う可能性もあるのです。これでは美味しい訳がありません。

さて、低温化の場合はどうでしょうか。当然シガーの熟成の進行が遅くなりますが、高温下におけるダメージよりはまだ良いと考えています。但し、シガーが凍ってしまうような温度(5℃以下)で保管すると、シガーの組織を破壊してしまうので、これも避けて下さい。5〜15℃程度でも保管は出来ると考えていますが、外気との温度差が激しい場合、瞬時に結露してしまうので、この場合はシガーストッカーのふたを開けずに最低でも1時間以上シーズニングしてから、蓋を開けるよう心がけて下さい。

湿度の上下については、簡単な実験をして見れば分かります。適湿なシガーと、乾燥したシガーと、高湿の環境に置いたシガーの吸い比べをしてみましょう。乾燥したシガーの喫味はワイルドになりスパイシーになります。逆に高湿の環境に置かれたシガーを吸うと、味か無い、煙が来ない、吸う力が余計必要になる等のデメリットが発生します。適湿なシガーは、マイルドで香りも高く、美味しいのです。

シガーの喫味は、湿度に大きく左右されるので、せめて湿度だけは、確実に管理をお願いします。御自身で出来うる範囲で最良の管理をお願いします。シガーが適湿にあるときは、シガーのフット部(火を付けるところ)を軽くつまむと適度に動きます。乾燥したシガーをつまむとバリバリと割れてしまいます。湿度が多すぎるとラッパー全体にしわが寄り黒くなってしまいます。

    シガーカットについて

シガーをカットするのは、とても容易いことですが、そのカットの方法により喫味が変わります。カットした面積が広いほど喫味が深くなり、狭いほど喫味が浅くなります。喫味の浅い順番に並べますと以下のようになります。

ピンホールカット

文字どおり針穴程度の穴を開けます。

パンチカット パンチカッターを使用し、吸口部分(ヘッド部の一部に丸い穴を開ける。
フラットカット ギロチンカッター・シガーシザ―(ハサミ)を使用します。このカット方法にも、先端だけをカットすれば喫味がより浅くなり、吸口部全をカットすればより深くなります。
Vカット キャッツアイカットとも呼ばれ、専用のカッタ等を用いて逆V字に切れ込みを入れます。

       実践編 さあ、シガーを持って下さい。

シガーをカットしましょう。カットの方法は、お好みでお決め下さい。火をつけずにシガーを咥えてみましょう。味はどうですか。甘いですか?咥える前のイメージと一緒ですか。火をつけたらどんな変化が起こるでしょうか。(ワインや洋酒をストレートで召し上がる前に、グラス内の酒の色を見たり、香りをかいだりして、どんな味かを想像していることと思いますが、シガーにも同じような楽しみがあるのです。)

    お酒とのマッチングを楽しむ。

どのお酒がこのシガーとマッチするか想像してみましょう。最高の相性だと、シガーの味や香りを最大限まで引き立ててくれます。1+1=2ではなく3・4・5…と膨らみます。1本のシガーに火を点けて、数種類の酒を並べて飲み比べるとよく分かります。

シガーは酒と同様、自分の体調や直前の食事の種類等により、全く同じ物でも受ける印象が変わります。空腹だときつく感じることもあります。

       火をつける前の楽しみ

香り                                     

色                                      

硬さ(巻きの善し悪し+湿度)                      

味                                      

     火の付け方

ガスライターまたは、硫黄分の少ないマッチを使用します。マッチの場合は、火をつけて炎が安定するまでは、シガーに着火しないことが大切です。オイルライターではオイルの匂いがシガーに移ってしまいますし、硫黄分の多いマッチの場合は、硫黄分がシガーに移ってしまいますので、いずれもシガーの着火に適したものとは言えません。又、直接ライターやマッチで着火する以外に、シダー(ヒマラヤスギ)の小片に火を移して香り付けをする方法もあります。

シガー全体を軽くあぶる。これは、フィラーを人肌程度まであぶることにより、フィラーにある余計な水分を除去することが出来ます。また、フィラーが持つ独特の油分を全体になじます事ができます。また、フット部(着火部)をあぶる事により、着火しやすくさせる事が出来ます。最近では、この作業をしない人も増えています。

シガーに着火する。この時はまだシガーを咥えないで下さい。必ず炎の先端部分で、シガーを回しながら、特にシガーフット部の外周部分の着火を心がけて下さい。外周全体に着火が終わりましたら、中心部の着火を行いましょう。これらの作業をマッチ1本又は、シダー1片で完了したいものですが、全体まで火が行き渡らなかった場合は、吸いながら火をつけるよりは、火付きの悪い部分へ息を吹きかけたり、シガーを上下に振るなどした方が、より美味しくシガーを楽しむ事が出来ます。この場合、焦らずに優雅に振る舞いたいですね。

ヘッド部を咥えてゆっくり楽しみましょう。

     火をつけてからのの楽しみ 前半

香り                                     

味                                      

お酒との相性                               

その他                                   

シガーは、香りを楽しむ事が本来の目的ですので、無理に肺や気道に吸引しないのが原則です。また、特に初心者は灰をこまめに落としがちですが、シガーの先端に1.5〜2.5センチ程度の灰を常に残しておく必要があります。でも、どうして?

では、判りやすく説明します。灰を残しておく事によって、着火部分の温度を一定に保つ働きをさせているのです。灰がないと着火部分が外気にさらされたままになります。この状態での火元は、酸素と反応が大きすぎて、その結果熱い煙がラッパー内を通り、口まで運ばれます。熱すぎる煙は、喫味を損なうばかりではなく、まだ吸っていないシガーの風味を破壊してします。また、熱い煙によって、水分が異常に蒸発してしまうので、苦味が増してしまうのです。これは、灰をしっかり残していても、早すぎる吸引によっても燃焼温度が増加するので、同様のデメリットが発生します。灰を残す事により、過剰な燃焼反応が押さえられます。美味しいシガーを味わうためにも、是非、ゆっくりくゆらす事と灰を適度に残す事を忘れないよう心がけて下さい。シガー専用の灰皿は、灰皿にシガーを置いたときにシガーを水平に置く事が出来て、灰を折ることの無いように受けの幅が加工されています。

     灰の色を見たことがありますか?

灰の色はシガーの種類によって千差万別ですが、その人の吸いかたによっても変化が起こります。一般的に言われているのは、「よいシガーほどその灰は白く固い」ですが、同じように「良い吸いかたをするほどその灰は白くなる」ようです。では、良い吸いかたとは、どんな吸いかたでしょう?

まずは、落ち着いて、ゆっくり吸う事です。せかせか吸いますと、着火部の温度が上がり、喫味が落ちます。

一度着火したシガーを消さないようにします。裸火をさらす事は、再度シガーを高温にさせますので良くありません。(ライターの温度:1000〜1200℃、火のついているシガーの先端温度:約750℃)

先ほど書いたように、灰をむやみに落とさないでください。どうしてもやってしまう人のために、一人でも出来るゲームを考えました。[灰の長さコンテスト]を目の前にある灰皿でやってみるのです。いつも心がけていると、自然に癖が消える事でしょう。そして、火元が灰皿にふれないようにご注意下さい。

シガーを吸いおわるときはタバコのようにもみ消さないで下さい。シガーは吸わないでいると5分もしないうちに自然に消えてしまいます。もみ消せば灰皿の中でシガーがバラバラになってしまい、見た目も良くありませんし、余計に煙が出ます。5分程度の時間のゆとり持って下さい。嬉しい事に、吸わなくても灰皿の中からはシガーの煙は出ているのです。こんな楽しみもあるのです。

     火をつけてからのの楽しみ 後半

香り                                     

味                                      

お酒との相性                               

その他                                   

     前半と後半でシガーの味や香り、そして、お酒との相性が変化しましたか?

       吸いかけのシガーを消して持ち歩きたいとき。

シガーを咥えたまま、息を吹きこんでシガー内部に残っている煙をすべて追い出して下さい。

先端より2〜3センチの所をカッターなどで切り落とします。

シガーセーバー等に入れて下さい。この時注意して頂きたいのが、吸いかけのシガーと他のシガーを分ける事です。一緒にしてしまいますと、まだ吸っていないシガーに匂いを移してしまいます。また、吸いかけのシガーは、その日のうちに吸いきってしまいましょう。時間がたつにつれて吸いかけのシガーの味はどんどん悪化していきます。それこそ、二日もたつと、そのシガーを咥えただけで気持ちが悪くなります。

シガーを吸いはじめの前から、吸いきれる時間が無いのが分かっているときは、シガー手を出さないのが原則です。吸いきれるサイズのシガーを楽しむべきですが、どうしてもと言う方は、長いシガーを吸いきれる時間分だけあらかじめカットする方法もあります。こうすれば、一本で二度美味しくいただけます。

     シガーはどこまで吸えるのでしょうか。

        御自身で納得の行く所までお召し上がり下さい。

     リング(ラベル)は、いつとればいいのでしょうか。

  現在の主流は、シガーを1/3〜1/2吸った後にラッパーに傷を付けないように外す、と言われていますが、これはアメリカ流といえるでしょう。伝統的なヨーロッパの考え方は、「リングは吸う前に外す事」が上品であり、リングを取らずに吸う事は下品だとさえ言われているようです。ここは、日本です。我々は、どちらを選択しましょうか?

     もっと葉巻を楽しむには

ご自分の気に入った葉巻を基準の葉巻として下さい。そして、新しく試す葉巻の味や香りの違いを本書のようにメモることです。同じブランドの葉巻でも別のサイズでは、ブレンドの違う商品が多いですので、必ずブランド名とサイズ名を記入することです。表現の仕方は自分で分かれば良いので余り気にする必要はありません。

ヨーロッパでは、シガーにも文化があります。現在の日本は、やっと、一部のメンバーが
シガーに目覚めたに過ぎません。今後、ブームが続くとすれば、無秩序な連中もシガー
に興味を示してきます。現に、場所もわきまえず、隣にいる人にさえ断りもしない若者が
増えています。これでは、一過性のブームで終わってしまい、日本のシガー文化は、確立
しないでしょう。ここにお集まりの皆様は、「シガー文化」を支えるオピニオ ンリーダーと
いえます。我々で文化を作りたいものです(ちょっと大袈裟でしたね)。

(C) ありいづみ 1997 1998

本文製作者

有泉  宏洋

 喫煙具専門店 「ありいづみ」 店主

 

[MUKU][BAR MUKU][AUCTION][COLLECTION][SELECTION]

[HALL][SALOON][DINING][SMOKING][LIBRARY][PRIVATE][OWNER'S][GUESTBOOK]

(C) Copyright 1998 BAR MUKU All rights reserved.

当ウェブサイトに関するお問い合わせはbarmuku@barmuku.comまで